さて、五平餅の分布地域についてお話します。
高速道路網が発達し、SAやPAなどで五平餅が売られるようになっていると、全国どこにでも五平餅があるような錯覚がありますし、この地域では五平餅はある意味当たり前のようにあるので、五平餅というのは全国区かと思いがちです。
確かに、五平餅に似た食べ物はあちこちにあります。起源の説のところで少し触れたきりたんぽもそのひとつですし、お米を餅の様にして食べるものがあります。
しかし、五平餅としての名称、そして棒または串に、つぶした米を平たく貼り付けて焼く、という形態の食べ物は、限られた地域でしか分布しません。
その分布域を独自に調べたものが、こちらの地域です。調査方法は文献資料と2~3の聞き取りですので、精度は十分ではありませんが、概略はこのとおりであろうと思います。
五平餅の分布域は、次のとおりです。愛知県西部、尾張地区の北東部、すなわちこの西三河の縁辺部です。そしてわれわれ三河地方の山間部、これも、碧海郡以南には見当たりません。山間部に分布しています。それから長野県南部、信州でも全域に分布しているわけではなく、松本以北では五平餅ではなく、おやき文化圏になります。
また、岐阜県の東濃地方と飛騨地方です。こちらも県全域ではなく、三河地方に接するような部分に分布しています。
これらの限られた地域に分布するということを知っておいてください。